情報技術専攻 早原特許技術事務所

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Date:2026年7月2日 | Category:

生成AIを用いて、発明を壁打ちしている際に最もジレンマとなることがあります。

 

【生成AIが発想した発明は、本当に自社事業に必要なのか?】

 

研究分野の発明を除いて、発明の本質は「既知技術の組み合わせ」や「既知の技術の適用対象の転換」にあります。
一方で、「本当に自社事業に基づく発明か?」という観点は必須です。
特許は、発明が斬新かつ最先端であることが重要なのではなく、発明が簡易なものであっても、自社事業に役立つ工夫うがあるかどうか、です。

 

一般に、AIエージェントには、【役割】【目的】【権限】【制約】を与えます。
ここで最も重要なのは、【目的】に「進歩性のある発明」を指示するのではなく、【制約に「自社事業の内容を含める」ように指示することにあります。

 

ここで、特徴ある3つの【制約】を与えることを、ご提案します。

  1. 【現状】現在の自社事業の製品やサービスの内容
  2. 【技術】自社の持つ基本技術やノウハウの内容
  3. 【未来】将来的に自社事業が開発していく製品やサービスの内容

 

「えっ、何それ?」と思われるかもしれませんが、発明とは、以下のようなものです。

【発明】=【現状】×【技術】×【未来】

 

例えば、プロンプトに、以下のような制約を指示したとします。具体的であるほど良いです。

  1. 【現状】現在の自社事業の製品やサービスの内容=10個
  2. 【技術】自社の持つ基本技術やノウハウの内容=10個
  3. 【未来】将来的に自社事業が開発していく製品やサービスの内容=10個

これは、10個×10個×10個=1000個の組み合わせを想定して、生成AIが発想してくれること意味します。

 

ここで、「特許的に進歩性の有る発明を想起して」という指示をプロンプトに入れないことも重要です。普通、直ぐに入力してしまうキーワードです。
しかしながら、これを指示することで、生成AIは一気に複雑に思考してしまい、結局、自社事業から吹っ飛んだ発明となってしまいます。

 

生成AIをどんなに使っても、結局、レビューや判断は、人の作業です。
そのためにも、専門分野に精通した弁理士を、軍師として傍に置くことは重要です。

Date:2026年6月30日 | Category:

実務をしていて、最近、【特許庁からの拒絶理由通知の引用文献の雰囲気が変わったか?】と思うようになってきました。

具体的には、引用文献に外国文献が増えたような気がします。当然ながら、特許庁の「AIアクション・プラン」が進んでいるのではないか?と思います。
中国の公開公報が、中国語そのままで引用されて拒絶理由を受けたときは「こういう時代か?」と思わされました。
結局、その中国の公開公報を、生成AIに翻訳させて、その技術内容を認識することになり、ひと手間かかることになります。
AI審査によって引用文献を検索する手間が省けるなら、出願審査請求の印紙代ももう少し下げてほしい、ぐらいです(笑)

 

しかしながら、その拒絶理由通知を見て、強く感じたことがあります。
進歩性拒絶の論理構成がほとんどできていない!】

 

特許庁としては、機械翻訳が組み込まれたAIシステムによって、容易に引用文献を検索することができます。
一方で、複数の引用文献を組み合わせた進歩性の論理付けができていない、ように強く感じます。

 

特許業務に熟練していないと、この拒絶理由通知を受けると、一気に「あきらめムード」に落ち込んでいきます。
しかしながら、よく考えると【何か違う】と感じざるをえません。
具体的にいうと、請求項の各構成要素について、「構成要素aは引用文献Aに記載されており、構成要素bは引用文献Bに記載されている。従って、当業者が容易に想到できる」ような感じに見えてしまうんです。

 

特許庁のAIシステムは、多分、本願明細書と引用文献との類似度をスコア化して、最も高いスコアの引用文献を主引用文献として、その差分を副引用文献にしていると思います。
しかしながら、主引用文献と副引用文献との組み合わせの論理付けが「ほとんど無い」又は「技術分野同一」で済ませている場合が多い、ように感じます。

 

熟練の弁理士であれば、一度「あきらめムード」に落ちた後、1時間後ぐらいに「これ違うんじゃね?」と気付く場合が多い、と思います。

 

特許庁の審査官には、類似文献を検索することではなく、本願発明の本質を理解してほしい、です!

Date:2026年6月29日 | Category:

【生成AIを用いた特許出願の請求項のドラフト作成方法!】です。

現在、生成AIを用いた明細書自体の作成サービスは、かなり散見されてきました。

しかしながら、最も難しいのは、ずばり!【特許請求の範囲】です。
現状、発明者の思考を、特許出願の請求項にまとめて表現することは、極めて難しいです。
そのためにも、★常に自社の技術を理解してくれる顧問の【弁理士】を傍に置くことは、経営上の軍師としては必須と考えます。

それでは、特許出願の請求項のドラフト作成を作成するために、生成AIに与えるべき、プロンプトの視点を、以下にご紹介します。個人的な見解ですよ・・・

  1. 【参照文献の列挙】
    最初に、★自ら知り得る参照文献をできる限り列挙します。研究論文や技術サイトURLなどを多く指示します。これによって、技術的なハルシネーション(嘘)をできる限り排除することができます。
  2. 【課題の明確化】
    次に、★発明者自身が「課題」を明確に指示します。発明の壁打ちの際に、多くのユーザのほとんどが「課題」を指示していません。その理由は、課題のヒントさえも、生成AIから得ようとするためです。生成AIの発明が空想の世界へ飛んでしまう、一番の原因です。
  3. 【思考の連鎖(Chain of Though)】
    ここではあえて、★生成AIに想起する発明を「発散」させます。思考を連鎖させながら、できる限り推論をさせます。その上で、ユーザ自ら最も良いと思う、思考の連鎖を選択します。
  4. 【具体的な機能(手段、ステップ)の明確化】
    次に、推論された思考の連鎖を、★具体的(実装ベースに近い)な「機能」に区分させます。概念的ではありません。勿論、この段階で、「機能の削除」も必要です。
  5. 【機能同士の連結関係の明確化】
    次に、実装的な機能同士を連結させます。例えば「機能Aが要素aを出力し、機能Bがその要素aを用いて要素bを出力する」という感じです。要素同士を連結させます。
  6. 【上位概念化】
    そして、最終的に、1~5までの推論結果から、上位概念化を指示します。

これらのステップを、単にプロンプトで指示するだけでは上手くいかないと思います。しかしながら、このような思考順序で、生成AIに指示することによって、現実的な特許出願の請求項に近づけることができます。

 

Date:2026年6月27日 | Category:

あくまで、個人的に思う「生成AIを発明の壁打ちを上手くいかせる方法」もあります。
例えば、以下の点にあります。

  1. 生成AIに安易な想像をさせないこと」!
    発明者自ら発見した引用文献(研究論文、特許公報、技術サイトURL)をできるだけ多く、必ずプロンプトに含めることです。
    これによって、生成AIは、これら引用文献から離れた発明を空想することができなくなってしまいます。また、少なくとも引用文献は、公式のものである限り、ハルシネーションを含んでいない、という利点もあります。
  2. 生成AIに引用文献を考慮した上で、課題を与えること」!
    発明者自ら、どのような課題を解決しようとしたいのか?を、プロンプトに明確に含めることです。
    生成AIを用いて壁打ちする場合に、ほとんどの発明者は課題を指示していない場合が多いです。その理由としては、課題自体も、生成AIからヒントを得ようとするからです。これが、生成AIを空想の世界へ飛ばしてしまう、一番の原因となります。
  3. 生成AIに対して安易に進歩性を求めるような指示を与えないこと」!
    生成AIとの壁打ちの際に、進歩性のある発明を提示するように求めると、生成AIは、より複雑な発明しか抽出しなくなってしまいます。当然のことで、進歩性を追い求めるがあまり、複雑にしないと特許性が得られないと推論するためです。
  4. 発明者(人間)が最も思考すべき点は、生成AIから提案された発明を、如何に要約(概念化)するか」!
    特許業務をやっていて、最も難しいのは、発明者の思考を如何に要約して、概念化した短い用語に落とし込むか?にあります。特に請求項の記載は、ある意味「和歌、短歌、俳句」を書いているようなものです。しかし、発明者が一番考えなくてはいけないのは、要約(概念化)のみ!と言い切ることができます。

あくまで個人的な見解ですので、他の知財関係者や弁理士に方にはご容赦ください・・・

Date:2026年6月27日 | Category:

最近、生成AIを使えば、特許発明を容易に洗い出して、明細書が完成すると、安易に思われている風潮が気になっています。

しかしながら、生成AIとの壁打ちは「発明を現実から遠ざける」という大きな問題があります。大きく以下の4つの問題があります。

  1.  生成AIは、「もっともらしさ」を優先する!
    そのために、論理的・技術的な正当性を無視した発明を平気で提案してきます。即ち、「自然で整合性の取れる文章」を出力しているに過ぎないことに注意すべきです。ユーザは、その点を気にせず、生成AIの発明を安易に信用することは危険です。
  2. 現場の「泥臭い技術的な制約」が反映されていない。
    特許発明の神髄は、現場の課題に宿っています。設計値や製造プロセスといった具体的な「ノウハウ」から課題が生じています。生成AIとの壁打ちは、概念的な会話に過ぎず、現実の製品開発に不可欠な「制約条件」が完全に置き去りにされしまいます。
  3. どこに技術的な 「ハルシネーション(嘘)」が含まれているか、が全くわからない。
    このような発明を前提にして特許戦略を立てると、特許庁の審査段階で指摘された際に、完全に瓦解していしまいます。最悪、無効理由を含む場合もあります。
  4. プロンプトで特許の進歩性を制約条件とするほど、全く違った方向の発明へ飛んで行ってしまう。
    生成AIと壁打ちの際に進歩性を追求すると、否定的に走って、複雑な発明へ誘導されていきます。

特に、生成AIと発明の壁打ちを始めると、収集つかないような思考に陥れられることになります。生成AIで検討した発明は、その専門分野に精通した弁理士や知財部との間で、再度の壁打ちを絶対に!すべきです。

結局、「発明を現実のものとして完成させる責任は、常に人間にしかない」ということです。

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